先日、上海虹橋国際空港の第二ターミナルの駅において、なんと音声認識で地下鉄のチケットが買える券売機を発見した。
普段は上海公共交通カードを利用しているので、チャージ専用端末ばかり使用して券売機に近づくこともなく気が付かなかったのだが、どうやらあとでネット調べて見ると、昨年の5月には上海に登場していたようだ。
何故、この音声認識券売機に気が付かなかったと言えば、上述の通り日常は上海公共交通カードを使用しているのと、この音声認識タイプは全駅にあるわけではなく、一部の主要駅にしかないため目にしなかったということになる。
確かに空港や高速鉄道のターミナル駅のような、外地から人が流入するような場所でなければ需要は少ないとも言え、日常から上海で暮らす人にとっては交通カードやスマホ決済が普及しているので、必要ないのである。
さて、この音声認識券売機が実際どんなものかと面白がって近づいて実験してみる。
こちらも正確な発音に自信がないため、比較的安易に発音できる駅名から試してみることにした。
音声認識モードへの切替へのボタンにタッチして、画面が聞き取りモードに変わる。
「静安寺(ジンアンスー)」と発してみる。
するとすぐに画面が切り替わり、静安寺駅までの運賃が表示される。
また、支付宝やWechatなどの電子決済マネーにも対応しており、現金がなくてもチケットが買える。
「おおー」
面白がって、何度も挑戦したが、結構うまくいく。
このシステム、よく見ると駅名だけでなく、主要スポットを伝えると最寄り駅までの経路及び運賃までも表示してくれるらしい。
もちろん、これも試してみる。
「東方芸術中心(ドンファンイーシューチョンシン)」
と発声してみると、見事「上海科技館駅」までのルートが示され、それに納得すると、上海科技館駅までのきっぷを購入するための画面に切り替わる。
「おおー、凄い」
こういった単純なことに感激してしまう。
恐らく高機能スマホが普及した現代となっては、それほど技術的に難しいものではなく、音声認識のインターフェイスで認識した文字情報で、駅名や地名を検索させ、ヒットした情報で、券売機の販売情報に接続させただけのことである。
まあ、通常の券売機よりそういったフロントの部分の作り込みの分だけ少しコストがかかると言えばその通りだが、スマホの音声認識機能を考えたら地下鉄用の特注だとしても、そんなにコストはかからないだろう。
ちなみに外国語でも通用するのかどうか試そうと
「Airport(エアポート)」と発してみたが認識してくれなかった。
まあ、私の英語の発音が悪い原因もないとはいえないが、恐らく外国語は認識されないだろう。
日本語は試さなかったが、やはり駄目だろうに思う。
とにかく、日本ではテスト段階の話しか聴いたことがないこの音声認識券売機だが、上海では実用化されていることになる。
ちなみに顔認証システムもテストが始まっており、一部駅で実験が始まっている。
これらが日本で何故まだ実用化されないかを考えると、まず周囲の雑音や方言、男女や年齢による癖などの問題で、認識制度を上げることが難しいのでは思われる。
またカナにすると同一駅名や似た駅名も多く、上海地下鉄のような500程度の駅名しか扱わない環境と比較して、音声認識と検索に対する要求が中国語より高いためなかなか実現に結び付かないのであろう。
何より日本の場合は、完璧を求める要求が高いため8割でOKということにならないのだろうと思われる。
まあ、中国で先に実現したからと言って、日本が技術の面で後れをとっているとは即座に感じるわけではないが、「まずやってみよう」という精神の分だけ先にに実現したこの音声認識券売機だという気がする。