ちょっとタイムラグを置いてしまったが、先週の週末に円ドル相場が急激に変動し、ドルが112円台まで高くなり驚いている。
つい先週半ばまでは108円台半ばで推移していたはずだから4円近く動いたことになる。
まあ、こうなった原因について私はまだ何も分析の材料を持ってないのだが、今回起きた円安は、日本の対中国の取引に関しても小さくない影響があるだろうと感じている。
つまり円に対してドルが高くなったという事は、実は日本円に対して人民元も高くなったということを意味しているからである。
ご存知の人も多いと思うが、現時点で中国人民元は国際基軸通貨となっておらず、基本は米ドルとリンクした準固定相場制となっている。
また香港ドルはさらにこのリンクが強化されたベッグ制を取っており、若干の調整レートはあるもののほぼ米ドルと固定された為替相場が設定されている。
近年では中国の経済発展に伴い2005年以降人民元と米ドルの関係も徐々に切り上げも行われているが、今のところ変動為替相場制のような瞬間的な激しい動きは原則発生しないので、人民元と日本円の関係はドル円相場の行方に大きく左右されるものとなっている。
こういった状況であるが故に、先週末に対米ドルで起きた急激な円安はほぼそのまま、対人民元の円安も引き起こしている状況となっている。
これによって何が起きるのかと言えば、当然中国からの輸入金額の増大が考えられるわけで、先日発表された上半期の貿易統計で中国からの輸入額が9兆793億円(Yomiuri Shimbunより)という数字をベースに考えると、今回の通貨変動で単純にさらに500億円近く輸入額が増えてしまうわけで、半年で10兆円を超えてしまう計算になる。
もちろん実際の経済指標はこんなに単純には導き出されないが、このままの状態が続けば史上最大となった上半期の5兆4271億円という日本の貿易赤字額はさらに膨らむ可能性が大きいと言える。
また、そんな大きな話でなく個人レベルの影響で言えば、1万円を人民元に両替しても550元を切るようになり、日本の空港や銀行などのレートの悪い場所ではほぼ500元程度にしかならなくなっている。
駐在者はともかく旅行者や出張者にとっては手痛い目減りであろうという気がする。
さてさて、こういった円安は誘導的に起きたものではないと信じたいが、安いコストを求めて既に中国にシフトした日本企業や、中国からの輸入でコストを抑えていた日本企業にとっては困った円安であることは確かであり、この円安によって再び日本の企業は生産体制の見直しが行われるだろうという気がする。
そうなれば、私の上海生活も何らかの影響を受ける可能性があるかもしれず、気になるこのドル高・人民元高の動きとなっている。