日本並みに便利になったと言われている上海だが、必ずしも全てが同じようなサービス水準になっていない。
その一つが、ATMの少なさである。
現金社会となっている日本人にとっては、なくてはならないATMの存在だが、中国ではどうも事情が違うらしい。
2012年のGLOBAL_NOTEサイトのデータによれば、日本のATM14万1633台に対して、中国は41万5561台しかない。
これを人口比で比較すると、日本は人口100万人あたり1100台のATMが存在するのに対して中国は300台あまりしか設置されていないことになる。
つまり日本の1/3~1/4程度しか中国にはATMが存在しないことになる。
まあ中国は上海のような大都市から新疆のような砂漠だらけの場所までとにかく国土が広いため単純比較は出来ないし、残念ながら都市別データが拾えなかったため大都市間の正確なデータ比較は出来ないのだが、生活実感として上海は東京よりATMが見つかりにくいと言うのは感じている。
上海の都心部はともかく、地下鉄沿線でもちょっと郊外に外れるとATMが見当たらないのである。
この理由としてまず中国では現金にニセ札が多い為に日本程には現金が信用されていないという背景があり、中国では最高紙幣額も100元(約1730円)とに抑えられているために、それを原因とした銀聯カードというデビッドカードシステムの急速な普及がある。
日本でもデビッドカードは一応スタートしたがそれほど浸透しておらず、一般的に日常的には使われず、日本で比較的浸透しているのはクレジットカードとチャージ式の電子マネーカードとなっている。
この電子マネーカードはコンビニや自動販売機などかなり広い範囲には広がったが、それでもまだ生活全体をカバーしたといった印象にはなっていない。
これに対して中国では、生活のありあらゆる場所に銀聯カードが普及し、コンビニの5元、10元の買い物でも使えるし、映画館やバス、列車のチケット購入など、ほとんどの場所で銀聯カードでの決済が出来る。
まあ日本では独占禁止法にひっかっかるくら中国で独占的な利益を上げている銀聯カード(ユニオンペイ)ならでは普及速度とは言えるが、そのおかげでほとんど現金を必要としない生活が実現してしまっている。
そのため現金の需要も減っており、中国ではATMをそれほど増やさなくても問題が起きず、実際に数も少ないのが現状になっている。
これを日本より進んだ状態とみるかどうかは微妙なところだが、現金慣れした日本人にとっては時々ちょっと焦ってしまうこの環境である。