X

あの船長はどこにでもいる。

 韓国の旅客船沈没が発生してから2週間たったが、まだ行方不明者が見つからない状況が続いている。

 死亡が確認された方の家族はもとより、まだ見つかってない方の家族の心情を慮ると気の毒であり、亡くなった方のご冥福を祈るとともに、行方不明者が早く見つかることを祈りたい。

 ところで、この事件に関して経緯やその後の対応の報道を見ると、あまりにもいい加減で無責任な対応の状況が伝わってくる。

 中古船を無理に改造して増床し、その増えた容量のさらに3倍もの積み荷を積んでフラフラな状態で、危険な水域を新人航海士が船長のサポート無しで運航し結局ひっくり返ったのが今回の事故の経緯であるのは報道の通りである。

 そして事故発生直後に今度は船員たちが乗客を助け出したり誘導したしないまま、自分達だけノコノコと脱出して助かり、大勢の乗客が犠牲になりつつある状況となっている。

 そして救援に活動に関しても救援隊の数が水増しされて発表されたり、被害者の家族代表が実は家族で無かったり、まあまあ次から次へといい加減な状態の情報が暴露されている。

 これらを韓国人の民族的気質に帰して非難するつもりはないが、それにしてもちょっと酷過ぎる。

 ある日本のメディアによれば、あの転覆事故発生直後に、船長たちが逃げ出さずきちんとした対応を取っていれば、恐らくほぼ全員が助かったのではないかと見る専門家もいるとしている。

 まあタラレバ論を言い出したらキリがないが、やはり今回の船長を始めとした船員たちの行動に見る責任感の無さには辟易する。

 もちろん、自分があの場に居て同じ立場だったら全員救えるかどうかは分からないが、まあ命を顧みず人柱になるほどの勇気は持てるかどうかはともかく、業務上の立場としてギリギリまで乗客の命に気を配ろうと思うし、何より私なら乗客の安全を考えたらあんなリスクのある運航は最初から実施しなかっただろうに思う。

 そう思うと、あの船長たちの無責任な行動と対応が非常に残念でならない。

 しかしながら、あの船長のような人はどこにでもいると思う。

 船や組織が危険な状態に陥ったとき、責任ある立場の人が職務を全うして努力すれば救えたり危機を脱出できたのかもしれないのに、そういった責任者が自分の身の安全だけを考えて逃げ出す準備を優先してしまったばかりに、結局危機を脱することが出来ないようなケースは世の中に多々あるのだという気がするのである。

 つまり危機の中で自分だけ助かって、濡れたお金の心配をして乾かしているような船長は意外と世の中に大勢いるというのが社会の実態のような気がするし、中国に来てから特にそういう人を見るようになった気がする。

 もちろん今回船を沈めてしまったという責任者の責任は重く、結局命が助かるより重い十字架を背負うのが責任であり、そのように裁かれるのが人の社会だと信じたい。

上海ワルツ:
Related Post