中国において、日本食ブームがそれなりに来てはいるが、日本料理屋においての食べ方を観察する限りにおいては、まだまだ発展途上な印象を受ける。
簡単に言うと食べ残し後がまだまだ雑なのだ。
食べ残すのが当たり前の彼らにおいては、結構大胆に食べ残していたりする。
もっとも、夜の日本料理屋においては日本人も結構無駄に食べ残したりすることは多いので、中国人だけがマナーが悪いということではない。
ただ焼き魚の食べ方においては、日本人にやや分があるのは確かだ。
私も、特別上手だということはないが、少なくとも彼らよりは上手に魚の身をほぐして食べきる自信はある。
まあこの点については、両親に正しく教わった結果だと思い、直接口には出さないが両親に感謝していた。
ところが、昨年だか一昨年に一時帰国した際に、自宅だか外食先だったか定かではないが、食事の際に母親が「私は魚がうまくないのよね」とつぶやいた。
「え?じゃあ私は誰に教わったのか?」
母親は歳をとったからほぐせなくなったのか、最初から下手だったのかよくわからない。
まあ私が見る限り、そんなに下手ではないが、父親や周囲の人に比べて下手だと感じているのだろうか?
母親にそう言われてしまうと、途端に自分の焼き魚の食べ方の自信が揺らいでしまう。
ひょっとしてある程度は独学だったのかもしれない。
実は焼き魚を食べる楽しみというか楽しさを感じ始めたのは、中国に来てからである。
もちろんそれ以前も、焼き魚が嫌いといういうこともないし、一人くらしをしていた時も時々自分でサンマなどを焼いて食べていたこともあった。
ただ肉を焼くよりは管理も含めて面倒くさいと感じていたのは事実としてはあった。
で、中国に来て以降、年齢を重ねたこともあって多少は食の志向が肉食から魚へシフトし、また食のホームシックも手伝って焼き魚を選択する機会も増えた。
そこで周囲の中国人たちよりは魚のほぐし方が上手い自分に気が付いたのだが、いつ学んだものだったものか、いまだにわからずにいる。
まあルーツはまだ判明しないが、焼き魚はきれいに食べきることを心掛けている。