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ハコモノ行政 ハコモノ経営

 日本でアニメの殿堂と揶揄されている「国立メディア芸術総合センター」が今回の衆議院選挙で一つの話題になっている。

 この施設が本当に必要なのかは選挙中ということもあってここでは議論を避けるが、建物の建設が先に決まり中身が後から議論されるというのは日本の行政機関が伝統的にハコモノ行政と批判される部分である。

 本来はそこで動くソフト(中身)からの必要性の要求があって初めて建物が建てられるはずなのに、形を優先して建物の建設を先に決めてしまうので結局はソフト(中身)が空っぽで無駄な投資になってしまう場合が多い。

 よしんば充実した中身を詰め込もうとしても、建物の建設を先に決めてしまっては後から何を詰め込んでも、建物の大きさに対して辻褄あわせに詰め込んだような陳列棚にしかならなく、その建物がそのソフトに対して本当に機能的な存在になるとは思い難い。

 必要や要求に応じて形をつくるのが本当のハコとしてのあり方のように思える。まあ少なくとも日本の民間企業はそんな無駄なことはほとんどやるまいと思うが行政ではそんなことが繰り返される。

 ところが、「ハコモノ」は日本の行政ばかりではない。中国における経営者の意識も一種のハコモノ行政に近いものがあり、言うならばハコモノ経営である。

 つまりどういうことかというと、以前から何度も出す例であるが、中国人経営者が会社を作ると、まず立派なオフィスを用意する、飲食店ならまず立派な厨房を用意する。

 やれアメリカ製の机だ、日本製の調理器具だというものを準備して仕事の中身や、どんな料理にするかはあとから考えるのである。
 日本料理店の場合、立派な内装のお店と、高い食材、日本人調理師がいればそれだけで店が繁盛すると思っている。

 つまりハードだけで商売が成り立つと考えている。

 本来はこういうことをやりたい、こうすれば利益が出そうだ、この料理人のこの美味しい料理をお客様に提供したい、そういう理念と要求があってオフィスや店が出来るべきなのに、先に「ハコ」を準備してから中身を考える。

 結局ハコにあわせた中身になるので、会社やお店がどうにも機能的でなくなり魅力が薄れる。本当に儲かる商売とは自らハコの機能を要求して、ハコを形作っていく。

 つまり他人が作った商売モデルの概念に、見よう見真似で乗っかってみて、取ってつけのハコを用意したところで、所詮モノマネの2番煎じでしかなく、ハコの形の意味するところやその中身がわかってなければうまくいかないのである。

 本来は世の中にある不足や要求を見極めて、商売どころに狙いをつけてビジネスを始めるべきなのに、どうにも中国人は形(ハコ)から入りたがる。

 ビジネスの中身よりまず経営者になり立派な会社をもつために、ハコをもつ。そんな人がとっても多い。

 ビジネスはそんな金儲けだけの単純ゲームじゃないから面白いのと思うのだが、次々に起業する中国人たちにはまだそれがわからないらしくハコモノ経営が繰り返される。

上海ワルツ:
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