最近気がついたのだが、同じ日本語を話せる中国人でも、長く日本にいたことのある経営者と、日本に行ったことがなかったり、足早にしか滞在したことのない経営者では日本人との付き合い方に差があるような気がする。
日本に長く滞在したことがない人の場合、例えば夜の会合などに参加して一度名刺交換して営業の話が終わってしまうと、それ以降の継続的な付き合いをしようとしない。あくまでもビジネスライクでドライな付き合い方をしようとする。
しかし、日本に長く行ったことがある人は、日本的付き合い方を言葉とともに取得したようで、同じビジネス目的に参加する夜の会合でも、まず人間関係を構築しようと、長く同じ回に参加を続ける。そうやって人間関係を構築し、信頼してもらった上であれば仕事の依頼を受けることもスムーズであることを心得ているのである。
そこが、日本社会で生活したことのない中国人には理解できないようである。自社の製品の性能さえ良ければ継続的に利用してもらえると考えているようだが、日本人は常に「万が一」のことを考えており、仕事を依頼する上で万が一のときどうなるかを非常に気にする。そこに人間関係が構築できているかが非常に重要になってくる。
人間関係ができていれば万が一のときでも相手は逃げずに尻を拭いてくれる。
それが信じられるからこそ仕事を依頼できる。日本にいるときは気がつかなかったこんな当たり前の日本人のビジネス思考だが、中国に来てみるとそのあたりの違いがよく分かる。
大事な仕事を、中国人経営者と話をする場合には「日本語ができる」「誠実な人である」かどうかだけでなく、日本に留学したことのある人であるかをまず尋ねてみるのもいいことかもしれない。