日本には、勤怠管理から財務、営業支援まで様々な業務ソフトが市場にでまわっているが、中国はそういうソフトはあまり浸透していない気がする。
人件費が安く、ソフトで合理化するより人手をかけたほうが安上がりでるという事情もある。
さらに、Excelなどを使えば、ある程度の業務処理は出来、そんなに高価な専用ソフトを改めて購入する必要もない。
しかし、中国に業務ソフトが定着しない理由はそこではないように思う。
中国人の業務姿勢を見ていて思うのは、仕事を積み重ねたり、トレースする意識がとても薄いということだ。
故に、定型処理を合理化するようなタイプの業務ソフトはなかなか浸透しない。
また現時点の中国の市場変化速度や法律の改正速度が非常に速く、そのおかげで結果的に業務が非定型的になり、業務ソフトに収めるような定型化が出来ないという事情もある。
特に中国の法制度の変化は、決定から施行までの期間が短く、法改正対応が必要なタイプの業務ソフトの浸透を妨げる。
日本の、例えば給与計算ソフトのような業務ソフトは、法改正が決まってもその施行が一年後だったりして法改正対応開発の時間的余裕がある。
しかし中国の場合はその時間的余裕がなく、その仕様を固定する期間がとても短い。従って、業務を固定化する費用を回収する時間がなく、
そういった投資に経営者の目が向いていかない。
また業務を定型化できるような安定環境を生み出せる状況というのは、実は他社の追随を許せる状況ということになり、中国の激しい競争社会では安定した途端にすぐに真似されて追い抜かれてしまう。
そういう事情からだろうか?日本では当たり前に浸透している日常業務の管理ツールまでもが、なかなか固定されない気がする。
その分、業務を行う側にとっては毎日が行き当たりばったり的な苦難の連続である。