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中国ローカル病院の治療で右往左往

先日ちょっと指の爪の周辺が炎症を起こしてしまい痛みに耐えきれず病院へ行くことになった。

ただ現在は海外旅行保険に入っていない状態なので、高額な日系病院は避けてローカル病院に行くことにした。

もちろん日本語は通じない。

病院によって英語は通じるらしいが、もはや英語は中国語より自信がないので、あまり意味がない。

で中国語は日常会話では何とかなっているが、さすがに病院となると不安なので知り合いに頼んで電話の向こうで待機してもらう状態で病院へ行った。
何人かの知り合いに聞いていた情報によると中国の病院は予約したほうがいいという話を聞いていたのだが、さらに情報を集めていくと、予約は特に必要がないという結論を得て 、予約をしないで病院へ向かうことにした。
会社に対しても業務に差し障りがある症状ということで病欠にしてもらった。

 有休を使用してもよかったのだが、労務担当者となんとなくそういう話の流れになり 病欠を使うことになった。
病欠の場合は有休の他なので自分自身の有給を消化しないで済むのである。
ただし認めてもらうにはいろいろ出す書類が多く、給料もその時間に対する時給の4割カットと言うか6割保証という形になるようである。

さて病院に到着すると建物に入るのに健康コードの提示があるが厳重な印象はなく緩いくらいな印象である。
中に入ってまずやるべきことは番号札(掛号)の取得である。
日本のようなただの自動番号発行機で取るのではなく、初診料の支払いと引き換えとなる。

現地の中国人であれば身分証明書を提示することによって機械でも手続きできるようだが私は外国人なのでパスポートを提示して手続きをすることになる。

外科に行きたい旨を告げ、現地の健康保険にも入っていないので初診料18元を支払う。
費用を払い終わるとIDカード代わりの診察カードと、1枚の紙を渡された。
領収書があるんだなと思っていたが、それはいわゆる掛号単という受付番号の書かれた紙であり行動の指示内容が書かれている紙のようだった。

診察カード

そもそもお金を払った時点で次にどこへ向かうべきか自分ではよく把握していなかったのだが、その紙を見ると序列番号が記載され、3階と書いてあるのでこの通り行けということのようである。

指示に従って3階上がっていくと、私の場合外科だったので指定の診察室の入口の所に掲示板があって何番の人はどの部屋に入ってくださいというのも掲示されていた。

この病院の場合は総合病院なので内部は細かい科に分かれているが私は外科だったので その指示に従って入って診察室付近前で順番を待った。
 順番が来た人は名前が電子掲示板に出るが、一応個人情報の観点から例えば中国人の場合は名前3文字のうち一字が伏せ字にされている。
私の場合は外国人なので漢字の表記ではなく英字表記となるがアルファベットの頭文字以外は伏字にされていた。

 さて順番が来て診察室に入ってくと医師との会話はそれなりにスムーズだった。
 100%ではないが、支障ない程度に意思の疎通はできたため、待機してもらった通訳役の知り合いには頼む機会がなかった。
 ただし症状については伝えたというより、指を見せただけで典型的な症状なの医師の先生の方が状況を把握したような状況だったのである。
 そして診察が終わると、診察状況を記録した冊子のようなものを渡され、膿の排出をするので再び窓口でお金を払って掛号を取るよう指示される。

診察記録冊子

これはまあ病院内での診察歴情報共有の情報ファイルみたいな役割を果たしているようで、もちろん大元の原本情報は院内のサーバーに記録されているのだろうが、患者個人に対してもその控えが渡され、患者の病状状況が受け継がれていくシステムとなっているようである。
日本も電子カルテは恐らく多くのところで導入されているはずだが、患者にはあまり渡されていない気がしており、これは日中の医療の考え方の違いかもしれない。

今回の費用の方は膿を排出する手術1回150元と、今後3回の薬交換の費用38元×3回で114元の合計264元である。
手術と言ってしまうと大げさだが、膿の排出ということで切り込みが入るわけで手術と言って差し支えないだろう。

そして指示された治療室(手術室)へ向かう。
看護士さんに指を見せるとカルテを見ずに全てを把握したようで、電子カルテの表示を一応確認してさっそく手術にとりかかる。
壁を見るとカルテに書かれていた症状名と同じ言葉の説明が写真付きで説明されていた。
やはり良くある典型症状のようである。

看護士さんは消毒薬の染み込んだ綿とガーゼを念入りに準備し、指先を丁寧に消毒してから、工作で使ったようなカッターの刃を取り出した。
そういう刃を使うのかと驚いたが、さすがに切り込みを入れられる瞬間は直視できず、目を背けてしまった。
ここへ来るまでに痛み止め(ロキソニン)を飲んではいたが、やはり切り込みを入れられる瞬間はかなり痛かった。

ロキソニンのパッケージ

なお私がインターネットで調べた情報によると今回の症状の場合は抗生物質が処方されるようなことを書いてあったが、今回の医師は薬を処方してはくれなかった。
一応医師の診察の際にその点は尋ねてみたのだが答えは様子を見て必要なら薬を出しましょうということであった。
私が勝手に推測するに おそらく現在中国でもコロナが流行っている状況なので抗生物質を飲んでしまうと体の免疫力に影響するということもあり、なるべく抗生物質は避けているのではないかと察した。
また体の免疫力そのものを利用して直した方がやはり体には良いというのが中国医学の基本理念としてあるのかもしれない。

治療を終えて帰ろうとしたが、会社で病欠処理のため要求された資料の診断書が一つ足りないことに気が付いた。
病院の1階出口付近にそれらしき窓口があったため、診断書が必要だということを伝えると、登録がないため医師に作ってもらうようよう要求してくださいと言われてしまった。
仕方なく再びまた3階に戻り同じ診察室へ伺った。

番号を取り直すとお金がかかるので、隙を見てさっと診察室へ入り話をしてデータを入力してもらい再び最初に1階のカウンターに戻ってようやく診断書が発行された。

今回ローカルの病院で治療を受けて、費用はおそらく日系病院を利用するよりはるかに安く済んだはずでとても助かった。
また言葉の問題もそれほど感じずに済んだのだが、問題は言葉の問題という手続きのシステムが全然わからない方であり、右往左往してしまったことの方である。
私のこの体験談、もしローカル病院で診察を受けようと考えている方がいたら参考になれば幸いである。

上海ワルツ:
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