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私は実は有名人?

 しばらく前の時のことであるが、私はあるコンサートに行けなくなったので、チケットを知り合いに譲ることにした。

 そのチケットは当日会場で引き取りになっていた。
そのために私は私の登録名と電話番号、チケットの券種(金額)をその知り合いに伝えた。

 で、コンサート後にその知り合いから伝えられた話によると、当日の受取窓口へ赴いた際に、その受付の人は私のことを知っているようで、どうやら違う人が取りに来た理由をちょっと問われたようだ。
 まあ大した問題にはならなかったようだが、私が知られているということがちょっと驚きだった。
 知っていると言うと大げさだが、そのチケットの購入主はあの人だということが認識されていることになる。

 つまりどうやら私はその楽団の中では単なる「あの人」というレベルではあるとは思うが存在が認識されているようなのである。
 私が日本人であるかどうかまでわかってるかどうかまでは分からないが、「あの男性」程度の認知はされているようである。

 実はつい先日も、私自身が同じような方法でチケットを買ってコンサートに出かけた時も似たようなことがあった。

チケット受け取りの受付テーブルに近づくと担当者はすぐにチケットの束を取り出し、私がチケットの券種を言うとさっと1枚を抜き出して私のチケットを探し出した。
予約済みのチケットは券種別にまとめてあるようで、購入者別に付箋を貼って準備している状況だったのだが、私が券種を告げただけで迷いもなく私のチケットを抜き出したのである。

携帯番号の末尾の4桁だけを確認され、間違いがないということでチケットを渡された。
もちろんその購入者確認に関しては当然誰に対してもやる行為ではあるが、少なくともチケットの選び出しに関しては、私がその購入者ということがカウンターの人間には認識されていたようなのである。
それ故に迷いもなく人物確認をされたということになり、、もちろん他に一人でチケットを買った人がいないという可能性もあったとも言えなくはないのだが、あまりにも見事にそのチケット1枚を抜き出したという印象だった。
つまり私がそのチケットの予約者であることをやはりそのカウンターの担当者が知っていたようである。

上海交響楽団ホール

私がこのようにチケットの購入主ということが認識されていて良いのか悪いのかわからないが、私はその楽団に常連客ということが知られているようなのであり、少なくとも大勢の中の無名の一人の客ではなく私はこの楽団にとってよく来る常連客の一人として楽団の中で認識されていることになる。

まあ上海はコンサートホールの数も少ないので、ここ数年通っているホールも特定の数ホールしかなく、恐らくホールの客席担当のコンシェルジェにも常連としてある程度顔は知られているんだろうなという自覚はあるのだが、楽団にも知られるのはある意味驚きだった。

 これまで無名の聴衆の一人としてコンサートに通っているつもりだったが、意外と自分の存在は知られているようである。

上海ワルツ:
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