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ヒットは出なくても得点は入る

 野球の例え話で、ルールのわからない人にはちんぷんかんぷんかも知れず恐縮なのだが、ビジネスにおいてホームランやヒットを打つことばかり考えている人がいる。

 もちろん、ホームランが出れば得点は入るし、ヒットが出れば得点の確率は高くなる。

 しかし、忘れないで欲しいのは、野球はヒットの数を競うスポーツではなく、得点を競うスポーツだということである。

 つまり実は野球においてヒットやホームランは、得点における必須事項ではない。

 どういうことかというとヒットをを何本打っても得点にならなければ試合に勝つことはできないし、ホームランはなかなか出る確率が低い結果なのでホームランばかり狙って皆で大振りし、1試合に1本だけホームランが出たとしてもそれでは1点しか得点を得ることができず、試合に勝つことはなかなか難しいのである。

 逆に、先頭打者が四球で歩き、その後2塁へ盗塁、そして次の打者の内野ゴロの間に3塁へ進塁、そして外野への犠牲フライで生還すれば1点となる。
 つまりノーヒットでも得点することができる。もしこれを9イニング繰り返すことができれば、理論上はノーヒットで9点が入ることになり、それ以下に失点を抑えることができれば勝つことができる。

 つまり野球の勝利にヒットは必要条件ではないということになる。

 逆に投手の側の言葉に、ノーヒットノーランという言葉があり、無安打無得点試合と訳されるが、無安打でも無得点ではない場合が有りうり、無得点に抑えなければ記録にならないということなのだ。
 

 さて、これらを仕事の話に置き換えると、ビジネスにおいても必ずしも「ヒット」つまり「ヒット商品」は必須ではないといえる。得点が入ればいい、儲かればいいということになる。

 もちろんヒット商品があれば儲けが出る確率も高くはなるが、実は必ず儲かるとは限らない。
 売れたとしても利益率が低かったりして儲けの採算ラインまでなかなか届かない場合がある。

 またホームランならば得点は入るが、そればかり狙っていたのではほかの面でに犠牲が多く、結局ホームラン以外の得点がなく、全体として大きな利益になってない場合がある。故にホームランを狙うと実は会社全体にマイナスになってしまう場合が多い。
 ではビジネスにおける四球とは何か?

 それは球の見極めで、話の見極めであるように思う。

 ヒットにならないであろう球をきちんと見極め、ストライクゾーン(リスクの高い話)ならファールでカットし、ボール球(安全な話)なら見逃し(無条件に受け入れる)、そうやってリスク回避を続けることによって、ヒットやホームランが出そうな好球を待つ。

 そうやって危ない話を避け続けることによって信用が積み重なって四球でフォアボールで歩くことができるようになる。四球を続けることによって、満塁押し出しなんてこともあるかもしれない。

 もちろん相手(ライバル会社)のあることなので、こちらが何にもせず得点を重ねていくことは難しいが、隙を見て盗塁(抜け駆け提携?)をして、犠打(協力連携)で得点を重ねることは可能かと思う。クサイ球を見極め、カット(危険回避)する技術は必要だが、少なくともホームランばかり求めるより確実に得点に近づく。

 つまりヒットは出なくても得点は入るということである。

上海ワルツ:
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