先月に発覚した独フォルクスワーゲン(以下VW)社の不正車両問題だが、中国でも事件について触れられているものの、ニュース上ではどちらかと言うと対岸の火事的扱いになっている。
と言うのも、今回不正ソフト搭載が発表されたVW社の車種というのは中国全土で2000台弱しかないというのだ。
つまり、一部の金持ちだか誰かが輸入しているだけで、中国国内の対象車種は非常に少ないので、ほとんど問題ないというスタンスらしい。
果たして本当にそうなのだろうか?
実は近年中国においてVW社の新車販売における市場占有率は20%前後を推移し、圧倒的な強さを誇っていて昨年2014年は年間368万台も販売しているメーカーとなっている。
もちろんこの数字全体にはガソリン車も含まれているが、とにかく物凄い勢いでVW社の車が中国の路上に増え続けている状況となっている。
しかも上海のタクシーはほとんどがVW社製である。
ほかの都市の状況は知らないが、それなりに多くの都市でVW社の車両が導入されていてもおかしくないだろう。
このようにVW社は高い市場占有率を誇り、多くの車両が日々運行される状況になっているが、そこに出てきたのが今回のVW社の排気規制逃れの不正ソフト問題である。
規制値の40倍もの排気ガスを出す車両が見つからないように設定されたというニュースなのである。
普通に考えてあの不正操作は現場だけで実施できるものではないことから会社ぐるみで行われていることはほぼ間違いないだろう。
つまりそういった不正体質に染まったメーカーの車両が中国に大量に入り込んでいるこんでいることになる。
そして規制値の最大40倍も有毒物質を出している可能性があるともなれば、近年問題になっている大気汚染の元凶としても疑いの目がかかってくる。
さらに加えて、中国の文化土壌である。
袖の下の加減で物事が許可になったり不許可になったりするこの国のことであるから、もしVW社の不正が意図的に見逃されていたようなことがあったとしても何ら驚かない状況がある。
故にガソリン車とかディーゼル車の区別に関わらず、実は中国の検査基準をパスできない車が入り込んでる可能性は否定できないのである。
もちろんこの事は中国の検査体制に問題、つまり行政体制のメンツにもかかってくるので、はっきり明るみに出ない可能性はある。
ただ、これらの状況から察するにVW社の車両にメスを入れることによって、もしかしたら中国の大気汚染解決に近づくのではないかといいう発想が捨てきれない今回のVW社の不正問題のニュースとなっている。