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上海アイザックスターン国際ヴァイオリンコンクールの決勝は来年に延期?

上海交響楽団音楽庁(コンサートホール)

この8月まで行われていた上海アイザックスターン国際ヴァイオリンコンクール(2020 SISIVC)の審査が中断しているようだ。
8月22日に決勝進出者が発表されて以降、全く音沙汰がなかったため調べてみたところ、色んな状況がわかってきた。

 このコンクールは、国際的な名ヴァイオリニストであった故アイザックスターン氏の名を冠した国際ヴァイオリンコンクールで、今回は第3回目の開催である。
5年前の第1回目は日本の木嶋真優さんが優勝し、前回はアメリカのナンシーチョウさんが優勝した。(2回目の決勝は全部会場で聴いた。)

前回のコンクールのチラシ

今回は、本来は昨年開催される予定だったがコロナ禍のため今年2021年へ延期されていた(五輪同様に大会名は2020SISIVCのまま)が、やはりコロナ禍が克服されない状況であり、コンクール参加者が中国を訪れることが難しい状況が続いたため、準決勝まではオンライン審査に切り替えられて実施されたようである。
(私はてっきり今回も上海に集まってやっているのだと思っていた。)

報道によると、コンクールの審査基準や課題曲は変更しないが、生演奏の審査ではなく各参加者がスタジオを借りてビデオ録画したものを提出して審査が行われたとのこと。
もちろんピアノ伴奏者や会場代などの諸費用は大会組織側が負担したようだ。

また審査自体もやはり各審査員が訪中できないため、公平を期すために、準決勝と準々決勝は時差を克服して11人の審査員が世界同時配信の映像音声を聴いて審査を行った模様。

この結果、104名の参加者から選ばれた準々決勝の審査対象者は25名もいたため、延べ50時間ものコンクールパフォーマンス映像が全世界に配信されたと報道されている。
アクセス数も総計360万ユーザーに達したとされている。

そして8日間にわたる審査の結果、8月22日に6名のヴァイオリニストが決勝に選ばれたが、実はコンクールはそこで止まってしまった。

何故なら決勝審査はオーケストラとの協奏曲となるため、どうしても上海に来る必要があり、現状はコロナ禍で訪中が難しい状況のため、実施時期が見込めないようなのである。

 報道ではコンクール決勝の実施は来年以降ではないかと推測しているようだ。

ちなみにホストとなるオーケストラはもちろん上海交響楽団でこのコンクールの主催側であり、会場も上海交響楽団音楽庁(コンサートホール)を使うので別の国のオケで代替するわけにもいかないのである。

 なおこの決勝には日本の吉本梨乃さんほか、トマ・ルフォールさん(Thomas Lefort:仏)、林瑞澧さん(中国)、フェリシタス・シフナーさん(Felicitas Schiffner:独)、陳蒨瑩さん(中国香港)、シャノン・リーさん(Shannon Lee:米国)の6人が進出している。

2020SISIVC決勝進出者(公式アカウントより)

 決勝進出者の準決勝の演奏はこちらで確認できる。

 準決勝の演奏を聴く限りでは私はドイツの方が一番上手と感じたが、決勝まで半年以上の間が空くことが見込まれるため、その間の各自の伸びによっては順位が変動するかもしれない。
いずれにしても全員がもっと進歩した上手な演奏が聴ける可能性が高く、ぜひその機会を待ちたいのである。


木嶋真優さん

上海ワルツ:
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