少し時間が経ってしまったが、萩原健一さんことショーケンさんが先月亡くなった。
彼本来の活躍の時期には私はまだ幼かったので、全盛期の状況を知っているわけではなく、その後のCMやドラマに出ていた姿を何度か見かけたが、私の印象のなかでそれほど重要な存在持っていた芸能人ではない。
ただ、大人になってから参加していた芝居の中で、彼の歌をラストシーンの中で使ったことがあり、その点によって強烈に印象に残っている。
その使った曲というのが「ラストダンスは私に」という曲。
この曲はそもそもアメリカの黒人グループ「ザ・ドリフターズ」(日本のコミックバンドのザ・ドリフターズの由来となったグループ)が歌っていたもの、世界中でカバーされており、日本だと越路吹雪さんのレコードが有名で、木の実ナナさんや今井美樹さんも録音があるようだ。
そういった中で、ショーケンさんもシングル発売しこの曲を歌っていた。
どうしてこの曲を使ったのかと言えば、当時の演出家の方がショーケンさんのファンであり、その芝居の内容が社会からドロップアウトした状態の社会を描いており、その締めくくりとして、ドロップアウト的な雰囲気が魅力のショーケンさんの曲を使おうと考えたようだ。
実際、音響操作していた私から見ても、想像以上に曲がハマったような印象で舞台後のアンケートでも、曲に触れるコメントは無かったものの、好印象の感触だった。
そんなことを思い出しているうちに、その芝居のラストシーンで掃除婦役として登場していた劇団員の女の子がいて、その子もその後白血病で亡くなってしまったことも思い出した。
かなり太っちょで、私にとっては妹分のような後輩だった。
また今思い出してみれば、当時のあのシーンの意味は社会の掃除だったのかなと、今やっと気が付いた気がする。
街が表面上は綺麗になっていく中で、過去の情景は消し去れていくような意味があったのかもしれない。
上海に12年も住んでいるとその意味がよくわかるような気がする。
そんな20年近く前のことを思い出させてくれたショーケンさんの訃報であった。