今朝上海市内の某所でコーヒーを飲みながら朝食を摂っていたとき、窓の外で太極拳で体を動かしている老人を中心とした市民の姿を見かけた。
こちらはそれを室内から眺めていたのだが、ちょうどその時、店内では朝にもかかわらずビッグバンドのジャズが流れてきた。
詳しい曲名はわからなかったが「SING,SING,SING」のような激しいドラムのリズム感のあるビッグバンドの演奏による曲だった。
その激しい曲を聴きながら、外でゆったりと太極拳で体を動かす人達の姿を見ているとまるで映画のワンシーンを見ているようで凄く気持ちがよかったのである。
その時「ああやっぱり上海はジャズが似合う街なんだな」と妙に納得してしまった。
太極拳のゆったりした動作とジャズの激しいリズムは一見(一聴?)不釣り合いにも見えるが、しかし太極拳で体を動かす人たちのいたって真剣な顔と、そのゆったりとした動作の中で非常に集中して体を動かす姿は、見るものに非常に熱いものを伝えて来るという意味では重なるのである。
それゆえにリズムが違うように見えるものであっても音楽がマッチするのだという気がする。
まあこれは音楽の表現するものが単なるリズムやメロディではなく、人の心の感情を示すものであるといういい見本かもしれない。
つまり心の熱さが音楽を示すバロメーターであり、リズムは二の次だということになる。
そういった意味では、上海が本場ニューオリンズを離れて、アジアのジャズのメッカになっている理由も分からないのでもないのである。
ジャズのガチャガチャ(と言っては失礼かもしれないが)としたリズムも、上海の人々の言葉や生活のゴチャゴチャ感とマッチするし、見栄っ張りでおしゃれ好き、でもすぐヒートアップして怒り出す気の短さのようなものも、ジャズと非常に合うんじゃないかと思う。
上海が何故ジャズの似合う街であるか、今日改めてわかったような気がする。