最近中国でほとんどテレビを見ない私ではあるが、インターネットで中国のNEWSサイトを見ていると、時々ポップアップCMに出くわす。
日本人には評判の悪いこのポップアップCMであるが、中国では当たり前のように飛び出して来る。
中国進出している日系企業も例外ではなく、車や食品のポップアップCMがどんどん飛び出して来る。
もちろんどの企業も日本人担当なら遠慮するところを中国人向けということで中国人の現地担当者がGOを出していると思われ、日系企業のCMでも遠慮なくポップアップ手法が使われているようだ。
まあ中国人自体がこれをどう感じているか知らないが、少なくとも今のところ中国人社会で許容されているのは事実のようであり、外国人の私が口を出すところではない。
しかしである。
そのポップアップCMの仕上がりの質に関しては、元音響の私としてちょっと一言を挟みたくなった。
実はつい先ほど見たニュースページにも、日系のサントリーの黒烏龍茶をPRするポップアップCMが登場してきたのだが、普段ならさっさと閉じてしまうこのCMに関して、ついつい美味しそうな揚げ物の映像が出ていたので目を留めてしまった。
(CMに引っかかったともいえるが、、、)
ビゼーのカルメンのスピーディな音楽に乗せて、若い女性3人が美味しい食べ物を次々に食べながら商品である黒烏龍茶を飲むと言った演出のCMであった。
ただ、私からみるとこのCMはどうにもリズムが悪い印象を持った。
音楽自体はカルメンなのでスピーディでよいのだが、映像のスピード感にマッチングしていなかったのである。
どうもこのCMは何とか食べ物自体を美味しく見せようとしてそれぞれのカットの尺が長くなっており、更に食べ方もスローテンポで見せることが美味しそうに見せるコツだとばかりにゆったりとしていて、音楽の畳み込むようなスピード感にマッチしていなかった。
コマ数は確かにそこそこ細かく切ってあったのだが、それでも音楽が示す追い込むようなスピード感にかけていたのである。
まあCMプランナーの意図したかったところは分からないでもないが、私からすれば選曲か映像の撮り方・割り方がどこか間違っていた気がする。
日本のCMであれば、サントリーほどの大会社であればこういったアンマッチングは発生しないと思うが、中国ではサントリーであってもまだこういった不出来なCMになるということは、クリエイティブ分野でのバランス・センスを持った人材が不足しているということである。
上海のイベントや結婚式などを見ても恥ずかしくて目を覆いたくなるほど、バランス感覚に欠けた演出が当たり前のように行われている。
ああいうものを見ていると、どうにかしてあげたいといつも思うのだが、音と映像の基礎的なバランス感覚を伝えるのはなかなかな難しいものである。