先月9月27日に発生した日本の長野県と岐阜県の県境にある御嶽山の噴火事故が連日日本のニュースで流され、現時点までに47人もの死亡者が確認される大参事になっていることが伝わっている。
御嶽山は日本第二の高さを誇る山にも関わらず、比較的容易に登れる山であり紅葉シーズンだったことも重なって被害が拡大したとも言われている。
しかも活火山であることは早くから知られていたが、気象庁の出している火山の噴火警戒予報が警戒レベル1という通知であったこともあって、どうも警戒感が薄れていて山頂に大勢近づいてしまったようである。
この点に関して 巷からは「警戒レベル1」なのに何故噴火?と言う声があちこち聞かれるが、果たしてこの「警戒レベル1」というものが、どういうものなのか気になって気象庁のホームページを調べてみた。
気象庁によれば「警戒レベル1」は「平常」の状態で火山活動は静穏としながらも、実は「火口付近には噴煙が見られる状態で火口付近では生命に危険が及ぶ状態」となっている。
つまり火山活動は静穏だが止まっていない状況と説明していて、実はどこにも安全とは書いていない状況になっている。
どうもここに、誤解しやすい表現上の問題がありそうである。
5段階のうちのレベル1は一番低いランクであり、しかも「平常」と表現されていれば、見る方は安全だと勘違いしそうになる。
しかし実際は火口付近では噴煙が上がり火山活動は止まっていないので、危険をはらんでいる状態には変わりなく、火山の常識から言えば前触れなくいつ噴火してもおかしくないともいえる。
もとより御嶽山は24時間監視体制が敷かれている山でもあり、決して安全な状態ではなく、当時レベル1だったとは言え警戒すべき山であったのである。
しかし、そこへ「警戒レベル1」と聞けば、警戒を促す指標なのにどうにも警戒が緩んでしまいそうな気がするし、登山者たちは誤解をして安心して安全だと思い込んでしまったのかも知れない。
実際、今回の噴火の報道を見てみると被害地点は山頂付近に集中していると言われており、もし登山者たちが「警戒レベル1」を正しく理解していたならば、少なくとも火口や山頂付近に近づくのは躊躇われたはずである。
それでも怖いもの見たさで山頂に近づく人はいるかも知れないが、それは危険を覚悟した自己責任であり、少なくとも今回ほどは被害者は多くならなかったかと思われる。
まあ気象庁が「警戒レベル1」などと、分かりやすい指標にしてくれているのは有り難いが、降水確率100%は1ミリの雨が一瞬観測されれば当たりと判断されるのと一緒で、指標として整理されてしまうと、どうも実際の感覚とは違った印象を与えられる面もあり、誤解を招かないためにもこの「警戒レベル1」という表現は見直してほしいという気がする。