昨日、知り合いのとの会話で上海で人気だった飲食店がなぜ突然閉鎖になるのかという話題になった。
実は日系飲食店や日本料理店に限らず「あの流行っていた店が何故閉店?」というケースは、上海では珍しくない。
特に流行っている店ほど、突然閉店が起こりやすい傾向がある。
まあ具体的な理由に関して言えば、私は当事者でも関係者でもないので、その閉店したお店に直接伺わなければ実情は分からないが、上海の商環境から感じる理由は十分推測が出来る。
その第一の理由と推測されるのは、第三者による店舗物件の乗っ取りである。
中国人の思考は、風水文化の影響もあって商売を行う場所というもの非常に重視する。
それ故に、非常に流行っている店を見つけると、サービスとか商品よりも場所に原因を求めてしまう傾向があって、あそこで商売すれば儲かりそうだからあの場所が欲しいということになるのである。
すると、その場所が欲しい人間はどういう行動をとるかというと、大家なり管理会社に圧力や金銭的利益を与えて、その場所を空けてもらうように頼むことになり、頼まれた側は契約更新時に家賃の値上げなどを掲げ、商売を継続するのが難しい状態に追い込むことをする。
家賃の値上げくらいでと思うかも知れないが、上海の場合は不動産バブルの追い風もあって、30%~40%の家賃値上げをふっかけられることも珍しくなく、とても従前の商売は継続できるような状態ではなくなるので、狙われた側は泣く泣く出ることになる。
そこへ満を持してその場所を狙っていた第三者が入居することになるのだが、階級社会の上海とは言えひどい話ではある。
まあこれが人気店ほど、突然閉店が起こりやすい理由だと私は察する。
しかし、このような強引な入居は、一般的には従前の商売が何故流行っていたかを理解していないので、当然のことながら従前の店舗のような流行りを得ることも出来ず、家賃コストなども太っ腹で高めに決めてしまうので、利益を得られず短期で閉店するのがオチなのである。
このような極端な場所信仰こそが、上海の不動産のバブルな高騰をささえていることも否めないような気がする。
ただ、最近の第三者による飲食店乗っ取りはもう少し手が込んでいるようで、上記のような方法で従前の経営者を追い出した後、なんと居抜きでその店舗を使って元の商売とほぼ同じ内容の商売を始めることをするようである。
もちろん店舗名ばかりは元のままという訳にはいかないようなのだが、一文字変えただけとか、良く見ないと見間違うような似た字を使って、まるで元の店が継続しているような商売をしたりする。
つまりやはり場所とそこに合った業種が流行っていた理由であろうという推測の発想からの対応なのである。
しかしこういった場合でもやはり商品やサービスへの配慮が欠けたりするから、結局は商売はうまくいかないようであり、他人のふんどしで相撲を取っても、駄目だということになる。
自ら努力せず、流行っているものをお金で買って商売を始めようというまさに中国人に見られる商売の発想パターンそのものが、人気飲食店が突然閉鎖してしまう理由のように思えるのである。