今週に入ってすっかり大気汚染の状況が改善し、ニュースが鳴りを潜めた感じだが、あの汚れた空気はどこへ行ってしまったのだろう?
上海に住む私にとっては空気の状況が改善されて確かにありがたい話であり、北京市民にとっても同様のことだと思う。
しかしこれは天候がちょっと変わったというだけの話であって、あれだけあった汚染物質は目の前に見えなくなっただけで、分解されて無害になったわけではあるまい。
つまり汚染物質が風に飛ばされて、北京や上海から何処かへ移動し拡散されたというだけの話であって、空気が飛んで行った先に又溜まっているか、地球全体の大気に拡散され地球全体の汚染が進んだ、或いはどこか広く地上や海に落ちたのであって汚染物質そのものは無くなっていないのが現実だと思う。
つまり風という状況が目先の状況をちょっと助けてくれただけで、根本的には何も変わっていないことになる。
そういえば南京で人工的に雨を降らして空気の状況を改善しようとしていたという話を聞いたことがあったが、
「それって、雨になって地面に落ちたら今度は地面が汚染されるんじゃないの?」
とその場しのぎな対応をおかしく思ったことを思い出した。
雨で目の前から汚染物質を失くしても、汚染を排出する状況を改善しない限り、また同じ状況は天候次第でやってくることには変わりない。
そういう状況であるにもかかわらず、どうも世間の雰囲気は「良かった良かった」になっているような気がする。
「風が吹いて空気が入れ替わって大気が改善した」
それでは済まないであろうに思う。