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中国はまだまだ「毒物除去」が環境テーマ

 先日の工業博覧会に先んじて、中国の環境問題について日中共同のシンポジウムが行われたのだが、その席で中国はまだまだ環境問題についての意識が世界スタンダードに追いついていないなと感じた。

 日本側が地球温暖化に向けての二酸化炭素排出量削減や資源再利用による地下資源依存からの脱却を図ることを目指して地球全体の環境を考えた論点であったのに対し、中国側からの論点は生活用品に含まれる銅や水銀などの有害物質除去など国内の生活安全問題がが大きなテーゼであった。

 確かにこの中国のテーゼは現在の中国が抱えている重要な課題ではあるが、世界的に見れば既に過去のテーゼであり、世界中で解決済みというわけではないが技術的にはほぼ手段が確立されている。

 もちろんそこに至るまでは先進各国も公害という同じ道を歩んできており、日本も水俣病などの苦い歴史を経て今の安全性が確立されているので中国の抱えている事情もよく分かる。

 今は経済発展の真っ只中であるが故に、環境=身の回りの生活環境であり、地球温暖化も意識にないわけではないだろうが、目先の問題解決が先で世界全体の影響まで考える余裕がそれほどないのかもしれない。

 ただ我々日本人としては、そういう中国の事情は理解するにしても、日本の10倍以上の人口が一斉に経済活動を活発化させている現在において、やはり地球全体の環境に与える影響も日本の比ではなく、環境問題の舵を誤れば中国国内のみならず世界中に影響を及ぼす問題なので黙って待っているわけにもゆくまい。

 ただし「こうすれば解決できるよ」と日本流を押し付けるのは簡単だが、プライドの高い中国人はそれではなかなか受け入れないであろう。
 面子を重んじた上で、同じ道を先に歩んできた日本がその知恵をどう伝えていくのかは非常に難しい問題である

上海ワルツ:
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