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2008年08月07日 オリンピックの名曲③ロス五輪「オリンピック・ファンファーレ」
 回を重ねるごとに巨大化してきたオリンピックは、1976年のモントリオール大会において運営費で大赤字を計上してしまったため、オリンピックはその財政のあり方について大幅に見直しを迫られることになった。1980年のモスクワ大会は西側諸国のボイコットなどにより大会規模が縮小したことと、主催国が社会主義国家だったためその問題が表面化することはなかったが、1984年大会の立候補がロサンゼルスただ一都市であったことからその不人気振りが露呈していた。
 モントリオール大会の反省を受けて、運営費の大幅な見直しが行なわれ、税金を1セントも投入しないという大胆な商業主義へ変革を遂げたのがロサンゼルスオリンピックである。税金を受け入れないということはボイコットが続発していたオリンピックへの政治介入を防ぐという意味もあった。
 この商業主義化においてハリウッドやブロードイウェイを生み出したエンターティメント大国アメリカは、MLB、NBA、NFLなどスポーツをショービジネスに変えた手法をオリンピックに対してもかかんなく発揮することになる。
 その象徴的なイベントが、この大会より初めて導入された開会式演出セレモニーである。人間ロケットが飛び、馬車が走りまわるといった演出は世界の人々を驚かせた。


 その華々しく変貌を遂げたオリンピックを、音楽的な演出効果面で強烈にサポートしたのが、このジョン・ウィリアムズ(1932-)作曲の「オリンピック・ファンファーレ」である。
「スターウォーズ」や「E.T」といった映画音楽でスペクタクルでドリーミーな音楽を提供してきたJウィリアムズが、このオリンピックに捧げたこの曲は、アメリカのエンタティメント的演出そのもので、オリンピック選手の力強く華々しい印象を世界中に与えることになる。 表彰式のたびに流されるこのファンファーレは、栄光を勝ち取った選手への賛美のみならず、その映像に対してドラマ性を与えて感動という言葉を強烈に呼び寄せる映画そのものに変えた。特に曲の冒頭で高々と奏でられるトランペットのアンサンブルは非常に印象的で、以降のオリンピックやオリンピック関連のイベントなどで度々利用され、オリンピック音楽の代名詞的な形で語られることになる。
 また非常に高音部を使用するので技術的に非常に難しいとされながら、吹奏楽の演奏会などで何度と無く挑戦されるように、トランペットを吹く大勢の方の憧れの曲になったと言われている。
 このロサンゼルス大会の成功を受け、以降のオリンピックへ立候補する都市が急増し、また開会式の演出セレモニーも定着することになり、以降のオリンピックに多大な影響を与えたのがこの大会の「オリンピック演出」であった。

こちらで試聴できます。(6番目)






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プロフィール

1971年千葉生まれ。大学時代は水戸で過ごす。
高校時代テレビで見た高泉淳子に影響され演劇の世界に踏み入れ、以後アマチュア劇団で舞台音響専門として過ごす。就職は一般企業にするものの、趣味が高じて休日にブライダルで音響活動を続け500組近くのカップルを見届けてしまう。
自身は無類のクラシック音楽好きで日本時代は年間120本以上のコンサートに通った時期もある。
 また旅好きでもあり、日本47都道府県はもとよりイギリス、フランス、スペインなど舞台を求めて世界を旅した。
 数年前一つの恋がきっかけで中国語を学び始め、上海に渡ってきた。
まったくの新天地で営業職に日々悪戦苦闘中。


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